もくじ
そもそもまんが家志望用語の「持ち込み」とは?
まんが家ってどうすればなれるのでしょう。
実はそれを名乗るための
具体的資格はありません。
ただ、そのスキルで”収入を得て職業にする”
のであれば、
自分で描いた漫画を売らなければなりません。
最近はオンラインで発表したり、
自分でコピーして本にしたり
印刷所に原稿を入稿したりして
出来上がった本を売ることもできます。
ただ、まんが家として有名な作家は、
大手出版社と契約をして
出版社から発売される本に載り
原稿料を受け取っている
ということが多いです。
このように、出版社に契約して
原稿を載せてもらえるように
自分の描いたまんがを
読んでもらいに行くことを
「持ち込み」といいます。
営業というわけですね。
- まず、持ち込みに行きたい雑誌の
公式サイトや本誌の持ち込み概要を
確認し、持込予約の連絡をする
(電話・ネットメールフォーム等) - 大体の持ち込みは無料
(交通費などはもちろん実費) - 持ち込み場所はその雑誌の
編集者ビル内で行われることが多い
(憧れの編集部に入れるチャンス!) - 持ち込み当日、約束の時間に
担当いただく編集部の方と
お会いして、原稿をその場で
読んでいただき、その場で批評いただく。
(ここで一定の実力があれば
担当編集さんがつくことや
デビューのチャンスも!?)
※この内容は2019年12月
当時の話ですので、
現在の持ち込み形態立地などと
異なる可能性があります。
「当時はこんな感じだったのか~」
くらいに思ってください。
今までは投稿持ち込みともに
少女漫画はりぼん一筋
でしたが、
このときは3社行ってまいりました。
当時の私のメモおよび
当時のホームページの
内容から再編集して
書いています。
- 少女まんが家を目指し活動していた
20代のやぴ子(PNは当時は別物)
が描いたまんがである - 持ち込みは今回で人生2回目
- 持ち込み原稿は20ページの少女まんが
「この欲張りな左手に」 - あらすじ:左利きの主人公が
憧れの男子と隣の席になって・・・

お話を考えて、
漫画として原稿を完成させるまでに3ヶ月くらいかかりました。
*一社目、K談社「なかよし」*
K談社は地下鉄階段上ってきてすぐ目に入る
お城のような建物が印象的です。
実際入るビルは縦長のほうなのですが。
ビルの向かいにマクドナルドがあるので、
休憩ポイントにいいかもしれません。
ただし結構混んでいるときは座れないかも。
来訪者カードに記入し、
受付の方に提出後、編集部のある階へ。
奥に通していただき、
原稿をみていただきました。
以下、箇条書きで批評を掲載。
(実際はもっと柔らかい感じで
丁寧にお話してくださります)
編集さん: 絵について。
ストイック。よくいえば真面目。一本調子。
もっとキラキラしてもいい。
自分の今の絵柄の
個性を活かし、
様々なジャンルを
掲載している雑誌で
自分の個性を
ひたすら追求する道もあるが、
描きたいマンガの分野が
メジャー雑誌ならば、
その雑誌の「イロ」を
研究し、絵柄を変えてでも
目指すこと。
編集さん:話について。
ちっちゃな部分の目の
付けどころや発想はいい。
ただし発想だけの面白さで
終わっている。
設定に固執するあまり
そればかりを読まされる
マンガになっている。
思いついた設定のままに
固執すると、
変なマンガになるので注意。
設定のなかに
違うエピソードを絡めるが、
ラストにまたその設定を
生かす程度、でいい。
テーマが身近なので
20P配分でも
完結はちゃんとしている。
(↑大きな変化がないまま
終わるから・・・
というのことでもある)
読者がどこをどう読んで
マンガを楽しむのかを
研究すること。
編集さん:
絵で言えば、もう一歩賞くらい。
*二社目・S学館「ちゃお」*
護国寺を後にして、神保町へ。
この後に続くS英社ビルと同じ通りにあります。
交番付近のドトールで、
遅めの昼食をとりました。
来訪者表を記入しロビーで待つ。
ドラえもんのエコカーがどんと置いてあり、
それを見たスーツを着た
おじさんが嬉しそうに写メしていました。
和みました。
編集部の方が見えて原稿を渡しました。
編集さん:絵について
古い感じ。
さっぱりしている。
典型的に描きすぎ。
男の子はまあまあ。
かわいらしさ、
いいこっぽさがでている。
吹き出しの配置に注意。
初めてマンガに触れる
世代の読者層なので、
そのあたりは漫画慣れした
世代以上に
気を遣い描くこと。
編集さん:話について
話運びのリアル感が
大人びた印象。
このテーマで
20ページいい配分。
(↑なかよしのときの
ようにきいてみた)
このテーマでよく話を
膨らませられている。
ただ、「左利き」という
題材に
はたして読者が
ここまで共感できるか。
編集さん: その時の担当の
推薦にもよるので
この場では
なんともいえない。
*S英社「りぼん」*
S学館を後にして、
予定の時間までしばらくあるので、
今度は近くのスーパーへ。
一階は野菜や日用食品、
二階はワインや紅茶、
三階がなぜかプチ100均コーナー
のあるところです。
(当時の自分には新鮮なお店でした)
大型ビルが立ち並ぶなかで
この生活感あふれるお店が良いです。
紅茶の種類が結構豊富で
見ているだけでも楽しかったです。
受付を済ませて入口すぐの半個室へ。
やがて編集部の方がみえて原稿を渡す。
編集さん:絵について
粗い。
洗練し、
繊細さや華やかさがほしい。
特に女の子。
かわいらしい感じはある。
もう少し描き込んでもいい。
編集さん:話について
アイデアと姿勢はいい。
ただ題材が左利きに
共感できる話となると
少数なので、
それ以外の多くの読者が
入って行けない。
ギミックの使い方を
考えること。
女性の投稿者は
キャンディーとか花とか、
そういった小物を
使うことに
重視してしまい
キャラが疎かになる
傾向があるので注意。
この話だと、
結局主人公が
何をしたのか、
この話を通し
伝えたい事は何だったのかが
わからない。
少女漫画においての
主人公は心の内面を重視し、
コンプレックスなどの
心の壁を乗り越える
過程を読ませてほしい。
編集さん:AかAの奨励賞くらい
3社持ち込みしての総評
- 読者世代を考慮したものへと
改善することが先決。 - 線に味があったり温かみがあったり
するよりも、
対象の世代は奇抜・華やか・人工的
といった大人が敬遠しがちな
方向の絵を待っている。 - いろいろと視覚で吸収する年代なので、
アニメ的・デジタル的なものに
親しみと憧れを抱いている。 - 少女漫画誌において
視覚での好みは大きい。 - インパクト大事。
- とにかく小奇麗にまとめる事に
必死になって、
娯楽として文字通り「楽しむ」という
ことができない。 - サラッと読んで
何の感情もわかないうちに
「はい、おしまい」という
状態から脱却する。 - 楽しませるにはどうしたらいいか、
印象的なシーンを作るには
どうしたらいいか研究する。 - キャラを掘り下げ、
乗り越えるべき壁を構築し、
読んでもらうマンガではなく
読みたくなるマンガにする。
原稿持ち込み後、誌面での成績は・・・!?
持ち込み後の原稿は、各社の募集している
「まんがスクール」「新人賞」などに
応募する(投稿といいます)ことができます。
投稿は1つのまんがにつきどこか1社だけ。
持ち込んだ出版社に持ち込み後、
編集さんに原稿をお渡しして
スクールに回していただくこともできます。
私は3社同日中に同じ原稿を批評
していただいたので、
持ち込み後に日をあらためて郵送で投稿しました。
投稿先は、今回の持ち込みの際に
一番高評価いただいた「なかよし」です。
そして待つこと2ヶ月・・・
第478回
なかよしまんがスクール
もう一歩賞+ベストセリフ+ベストシーン
「この欲張りな左手に」20P


人生ではじめての入賞
+誌面にカット掲載となりました。
自分の絵が読んでいる雑誌に
載るって嬉しいですよね ♪
今でも当時のことは良く覚えています。
この持ち込みレポートが、
何かのお役に立ったりすれば何よりです♪


ブログノウハウランキング